top of page

1年目の司法書士向け知識・注意点

・全権委任者、委任状

住宅金融支援機構から銀行へ全権委任状というものが発行され、銀行が抵当権抹消の解除証書や司法書士への委任状を発行することがある。

当然、貴重な委任状なので、原本還付が必須。その登記申請以外にも使用するものなので、原本還付は可能。⇔ちなみに、登記の委任状も、複数の登記申請の委任状の形式で、一部のみの申請の場合は原本還付が可能。

これとは異なり、息子、親戚などが委任状を取り出して私が委任を受けて全て手続きをすることになっていると言い張る人がいる。

それはそれでいいのだが、司法書士としては本人に直接、本人の意思で委任状を発行したのか(委任をしたのか)意思の確認をする必要がある。

結局、全権委任を受けたとはいっても、本人確認、登記申請意思の確認、手続き代理の委任の確認を行わなければいけないので、息子などだけで手続きを進めることはできない。

(と、説明しても納得しない人がいる・・委任状があるのになんで本人に会わないといけないんだ!と。)

・所有権移転の個数

甲地 A, 乙地 B → 甲地所有権移転、乙地所有権移転 2件

甲地 AB 乙地 A → 甲地共有者全員持分、乙地所有権移転

甲地 持分2分の1A 、 乙地 持分4分の1A →甲乙地A持分全部移転

基本だが注意したい。

・農地か否かの確認→農地法の許可/届出

市街化区域は届出、調整は許可。

その旨登記原因証明情報に記載すると法務局から補正が入ることがある。(届出なのに許可と記載しているなど) 農地法の許可/届出の有無は登記原因証明情報に記載しなくてもOK

・農地と宅地の同時移転

登記原因証明情報に農地法の許可について記載せず、事前に許可が得られている場合は、

移転日その他が同一であれば一つの申請で可能。

・新築登記のスケジュール(工務店)

ハウスメーカーであればいつもお願いしてる司法書士、土地家屋調査士がいるが、

地場の工務店であればいない場合が多い。

その場合、金融機関から登記の依頼が来る場合がある。

その時に金融機関の融資担当者がスケージュール間を分かっていたらいいが、異動したばかりなど、流れをわかっていない場合もあるので注意をしたい。

ちなみに、この時、司法書士が土地家屋調査士を手配することが多い。

1,登記の依頼・・現在の建築状況の確認、完成の見込みなど

2,クロスが貼られたタイミングで土地家屋調査士の先生に依頼

3,2から2週間程度で表示登記完了(年末などは土地家屋調査士の先生のスケジュールも埋まるので要注意・早めに予定を押さえること)

4,保存、設定など(引き渡し)

どういうミスが起こるかというと、金融機関から司法書士への依頼が引き渡し日(融資実行日)の1週間前となると、土地家屋調査士の先生への依頼、書類作成、測量、申請、完了が終わらない可能性が高い(少なくとも無理してもらうことになる)。

よって、金融機関から正式依頼でなくても、「こんど新築お願いします」との話が出れば、土地家屋調査士の手配は工務店がするのか、司法書士がするのか、クロス云々の話を軽くでもしていると非常にスムーズに手続きを行うことができる。

(引き渡し予定日から2週間前でも、ギリギリです)

・オンライン申請の添付漏れ

申請書の送信準備ができた時点で、満足(安心)しがち。

このミスを防ぐには、オンライン添付後、申請前に添付情報(+識別情報)を印刷すること。

ついでに印刷したものをチェックすることで、登記原因証明情報の記載ミスや、識別の甲/乙、受番の間違いにも気づきやすい。

・オンライン申請の添付間違い

登記原因証明情報の添付漏れはどうにもならないが(他管轄によっては1回セーフという噂)

​軽微な記載間違いはOK。

登記識別情報は暗号を打ち間違えても補正でOK・・なので、物件が大量にあり、申請の時間もない場合は事前に適当な暗号を打ち込んで申請―補正も可

・分筆で登記済証/登記識別情報は発行されない

 →地番255の土地を分筆、255‐1、255-2に分筆。権利証は分筆元の「255」

・合筆ではで登記済証/登記識別情報は発行される(新規発行と従前すべての権利証が有効・権利証が2重にある状態)

ただし国土調査による合併の場合は発行されない→従前の全ての権利証が必要

​・区画整理の場合、従前地と換地の個数によって権利書の発行が変わるので要確認

・昔の制度の保証書は抵当権設定では使用できるが所有権移転では使用できない

・就職先の探し方

合格した後は、いつから動いたほうがいいのか、など焦る気持ちも分かりますが焦らなくても大丈夫です。それよりブラックな事務所に入る方が大変・・。

しかし、地方都市(県庁所在地除く)では個人事務所が多い為、配属研修後のスカウトやコネでもなければ勤務先は無く、即独立せざるを得ない場合もあるかと思います。

即独立でも司法書士は仲間との連帯感が強いので(知識の共有や知らないのが恥、教えてあげたい属性)、配属研修や支部の懇親会、紹介で相談できる相手を見つけていれば何とかはなります。とはいえ、社会人経験がないのであれば、配属先を都会にして、それを足掛かりに就職活動をするのをお勧めいたします。

ちなみに私は即独立は嫌だったので、京都で配属研修、そのまま就職をしました。

ただ、就職先で全ての業務をするというのはなかなか難しいです。

単純に人手不足、というのであれば別ですが、私の頃は過払金があったので、債務整理系の事務所に行けば債務整理のみ、登記(決済系)の事務所に行けば決済のみ、という形で、

特定の業務の手が足りないから人雇うという形なので、司法書士業務全般をしてもらいたいという求人はまずありません。

債務整理系の事務所に入るとまず登記に触れることは無いと思ったほうがいいです。

個人的におススメなのは、夜9時、土日にオフィスの電気がついているかどうか。

個人事務所であればボスだけが働いている可能性もありますが、そこそこの規模の場合、スタッフも帰れてない可能性、サービス出勤している可能性が高いです。

残業代がつくならまぁ・・という感じですが。

とはいえ繁忙期(月末、3の倍数月)なんかは個人事務所でも残業はあり得るので、必ずしも全部がブラックというわけでもないです。

なお、関西では司法書士会に履歴書を置く制度が2010年頃はありました。

広島司法書士会ではそんな制度はありません。

税理士事務所、土地家屋調査士事務所、行政書士事務所が司法書士を募集する求人があることがありますが、下手に就職すると、経歴に傷・・というか司法書士会によっては独立の際に要注意人物として目をつけられてめんどくさいことになるのでお勧めしません。

またEAJの仕事を受けている事務所はシステム利用料(実質的紹介料)の証拠が出ないからセーフ(証拠が出たらアウト)というだけなのでお勧めしません。

最悪独立すれば何とかなるので、変な事務所に就職しないように気をつけてください。

業界の悪名や噂は大体当たっています。

bottom of page