なかなかレアな事例ですが、備忘録として残します。
論点
・不動産登記の登記原因は「売買」か「事業譲渡」か。
→事業譲渡は個別の売買の集合体という考えもあるので、「売買」で登記すべきという説もある
法務局からは、事業譲渡は法人間では登記原因としてみたことがあるが、個人ー法人間では見たことがない、「売買」ではないか、との問い合わせ。
←当職の考えとして、
①不動産の所有権の移転行為は、事業譲渡の一要素に過ぎない。単独で売買が成立するものではなく、譲渡される「事業」に付随する一要素である。
②事業譲渡というワードは会社法に出てくるが、民法には出てこない。しかし、法人ー法人で事業譲渡ができて、個人ー法人が事業譲渡できないということはない。法人と個人でできうる移転行為に差はないはずである。(分割、合併は除く)
というわけで無事登記原因を事業譲渡として完了しました。
なお、登録免許税は20/1000なので、売買で処理したほうが安いです。
・商号登記していない個人商人からの事業譲渡でも、屋号続用について、「商号譲渡人の債務に関する免責」の登記ができるか。
←相談事例1000問のP45あたりに記載アリ。(可能)
なお、
当会社は令和6年〇月×日事業譲渡を受けたが、譲渡人であるオバケQ次郎
(事業上使用される名称「居酒屋Q」「太郎食堂」)の債務については責に任
じない。
の内容にて登記されました。
なお、商号のすぐ下に登記されるのでなかなか目立つことに。
てっきり合併の様に最終欄かと思ったんですが。。
本来は会社の商号続用だからでしょうね。