離婚(財産分与)による不動産の名義変更
司法書士が財産分与を原因とする不動産の名義変更を依頼受ける場合、
私の場合ほとんどが銀行からの依頼になります。
AB夫婦、Bの単独所有へ名義変更、住宅ローンの借換(同一銀行の場合もあり)or債務の引受(抵当権の変更)
登記費用としては移転登記部分が20/1000のため、全体で30~50万円くらいかかるイメージです。
なお、A単独→Bの場合は不動産取得税はかかりませんが、
AB共有→Bの場合は、登記費用とは別に不動産取得税が生じます。
所得税の問題もありますが、多くの場合価値が下落しているので問題はないでしょう。
負担付き財産分与の場合は、免責される債務と不動産の価値の均衡の問題がありますが、
基本的には税務署も問題にしていない印象です。(税金は専門外なので税務署に直接確認してくださいね、私は責任とれませんと伝えています。)
さて、手続きの面ですが
財産分与の登記について、取得するB単独で登記申請できる場合と、AB共同で手続きをする場合とに分かれます。
財産分与を公正証書/私文書で作成した場合、AB共同で申請しないといけません。
そのため、司法書士が作成する登記原因証明情報・委任状にAB双方に押印、本人確認する必要があります。
ABの関係が良好であれば、日程調整が一度で済むのですが、良くなければ弁護士さん/金融機関に調整依頼をお願いします。
なお、金融機関には、借り換え、債務引受でも、返済手続きの関係で金融機関に向かっていただく必要があります。
財産を失う側の必要物としては
・権利書(基本的に取得側が所持)
・印鑑証明書(申請から3か月以内)
・住所が変わっていれば住民票
・氏名が変更していれば戸籍
・不動産の評価のわかるもの
・身分証明書
もしDV支援措置を受けている場合には、支援措置決定書。*今の時代の注意点だと思います。
離婚の調停によって財産分与が成立した場合、
基本的には取得するBの単独申請で可能です。
ただし、調停事項として、
「BがAの債務を引き受けたことを条件として、Bが取得する」
といった内容の場合、民事裁判でいうところの引換え給付判決になり、
BがAの債務を引き受けたこと、が調停調書中明らかではないので単独申請ができません。
そもそも夫婦間で話がまとまらない/協力を得られないから訴訟になっていること、
また、Bが金融機関の審査に通るかどうかも定かではないので、
離婚調停の場合、共同で不動産の名義変更手続きすることは望ましくない状況です。
・AはBに財産分与する
・Bは債務の引受手続きをする(努力義務)
といった内容で定められることが多いです。
こうすると、財産分与と債務(住宅ローン)の引受が別個の内容になるので、
債務がどうなるかに関わらず名義変更することができることになります。(離婚調停/協議離婚共通)
協議離婚の場合でも、「BがAの債務を引き受けたことを条件として、Bが取得する」の内容だと、
金融機関の審査に通らない限り不動産の名義変更ができないことになるので
基本的には住宅ローンのについては努力義務で済ませるのが基本的な考えになります。
*夫婦間の事情により、特殊な内容を定めることはまれにあります。
多くの場合、子供を引き取る側、住み続ける側の名義にすることになり、
それに合わせて住宅ローンも不動産を取得する人に変更することになります。
事情によるのですが、住宅ローンは出て行った夫、不動産の名義は住み続ける妻という形にする場合もありますが、お勧めしません。
子供の養育費代わりに住宅ローンをという考えが多いのですが、
養育費は子供へ、住宅ローンは金融機関に支払うものになります。
そして、もはや生活を一緒にしていないので、元夫の生活状況を元妻は知りません。
いくら養育費代わりと言っても、生活が荒れて住宅ローンを返済できない状況に陥ることも考えられます。
この場合元妻側では対策をコントロールできません。
最悪元夫と連絡が取れる状況にない場合は、なすすべなく出て行かざるを得ない状況になってしまします。
逆に元夫側も住宅ローンを借換して負担を軽くしようと思った場合、所有者の元妻の協力が必要になります。
よって、不動産の所有者と住宅ローンの債務者を一致させることが基本的な考え方になります。
1,離婚についての話し合い (夫婦で)
2,金融機関への相談/申し込み (夫婦で)
3,不動産の名義変更手続き (裁判で離婚は単独、裁判外の離婚は夫婦で)
4,債務者変更手続き(夫婦で)
5,債務者変更の登記手続き(単独で可能)
*単独=不動産の名義人
必ずしも顔を合わす必要はないのですが、手続き完了までは夫婦協力して手続きを進める必要があるものがかなりあります。

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